女性を描いた映画

【映画レビュー】バービーが人間になる選択|理想と身体性が残した違和感

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子どもの頃、着せ替え人形たちは、遊んでいない時間にどこで何をしているのだろう。
そんな想像を一度でもしたことがあるなら、この映画はきっと心に引っかかります。
『バービー』は、鮮やかな世界観の奥で、「理想としての人形」が揺らぎ始める瞬間を描いた作品です。

【ご一読ください】
本記事は、物語の核心部分には触れず、作品全体の空気感やテーマ性、鑑賞時の参考となる観点を中心に構成しています。

また、作品によっては、人間関係や社会的な題材、心理的な揺らぎを扱う場面が含まれることがあります。ご自身の感受性や鑑賞環境に応じて、無理のない形でお楽しみください。

総合まとめ

国内平均星評価:3.56/5

評価 :3.5/5。

海外平均星評価:3.52/5

評価 :3.5/5。

※このチャートは、確認できた国内外の評価サイトのスコアをもとに作成しています。
未評価のサイトは平均に含めていません。あくまで参考としてご覧ください。

あらすじ

完璧な日常が続くバービーランド。

そこでは、バービーたちが理想的な役割を担い、疑問を持つことなく暮らしていました。

しかし、ある出来事をきっかけに、ひとりのバービーが「これまで考えなかった問い」を抱き始めます。

やがて彼女は現実世界へ足を踏み入れ、人間社会の価値観に触れることになります。

人形としての自分と、これから選ぶ生き方。その間で揺れる姿を描いた物語です。

ワーナー ブラザース 公式チャンネル映画『バービー』日本版本予告


【ネタバレ注意】
※本記事では、登場人物や象徴的シーンに触れ、私なりの考察や解釈を掲載しています。これより先はネタバレになりますので、物語を楽しみたい方は鑑賞後の閲覧を推奨します。

まず心をつかまれるのは、バービーランドの造形です。

車や建物、小道具に至るまで、すべてが「おもちゃをそのまま大きくした」ような設計になっています。

理屈ではなく感覚で、「ああ、こうだった」と思い出させてくる。

人形遊びをしていたあの時間、人形たちはきっと自分たちだけの生活をしている——

そんな空想を、この映画は照れることなく肯定します。

この段階では、とにかく楽しい。

むしろ「この世界をもっと見ていたい」と思わせるほどです。

しかし物語は、徐々に違和感を混ぜ込んできます。

完璧であるはずのバービーが、自分自身に疑問を抱き始めるのです。

ここで描かれるのは、外から与えられた欠落ではなく、

**「何も疑わずに生きてきたことへの揺らぎ」**でした。

それはとても静かで、日常的で、だからこそ現実的です。

派手な出来事よりも、内側の変化に焦点が当てられていきます。

完璧な世界で立ち止まり、自分自身に疑問を抱くバービーの姿を象徴したイメージ。理想と違和感が交差する映画『バービー』のテーマを表現

ケンは、物語の中でやや極端な振る舞いを見せます。

笑える場面が多い一方で、どこか居心地の悪さも残る存在です。

彼は、誰かを支配したいというより、

承認されたい気持ちを持て余している人物として描かれているように感じました。

役割を与えられなかった存在が、形だけの理想を真似ようとする。

その姿は滑稽であり、同時に切なさも含んでいます。

この描写が意図的なのか、記号的な処理なのか。

判断を観客に委ねている点も、この映画らしさでしょう。

誇張されたポーズを取るケンたちの姿を描いた象徴的ビジュアル。承認欲求や役割意識をユーモラスに描く映画『バービー』の一側面

物語後半で登場する創設者的存在は、明確な答えを与えません。

代わりに、「選ぶこと」そのものを肯定します。

映画はここで、「こう生きるべきだ」という結論を提示しません。

それは物足りなくもあり、同時に誠実でもあると感じました。

理想は、完成した瞬間に役割を終える。

だからこそ、問い続けること自体に意味がある。

そんなメッセージが、静かに残ります。

現実世界の静かな空間に立つひとりの人物を描いたイメージ。選択と余韻を残す映画『バービー』のラストを象徴する風景

一方で、人形を通して人間を描く以上、回収しきれない違和感も残ります。

それは意図的に描かれない部分であり、同時に目を引く空白でもあります。

本文レビューでは、この違和感を欠点と断じるより、

考え続ける余白として受け取る方が適切だと感じました。

ここから先の問いは、別の場所でじっくり扱いたい。

そう思わせるだけの強度は、確かにあります。

🔗 関連作品・参考情報

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・過去作・関連作品:

  • 『レディ・バード/Lady Bird』(2017年)
  • 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語/Little Women』((2019年)

🎭マーゴット・ロビー

・過去作・関連作品:

  • 『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル/I, Tonya』(2017年)
  • 『スキャンダル/Bombshell』( 2019年)

🎭ライアン・ゴズリング

・過去作・関連作品:

  • 『ブルーバレンタイン/Blue Valentine』(2010年)
  • 『ラ・ラ・ランド/La La Land』(2016年)

今日の色彩:ピンク × パステルブルー
理想と現実、その境界が溶け合う色。

今日のかけら:
完璧な存在は、問いを持った瞬間から物語になる。

今日のひとしずく:
「あなたは、何を選びたい?」


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このレビューを書いた人
高瀬 楓(たかせ かえで)
高瀬 楓(たかせ かえで)
映画と余韻のブロガー。  週末19時に更新中。
はじめまして。映画ブロガーの高瀬 楓(たかせ かえで)と申します。 「映画の余韻にじっくりと浸りながら、自分の視点で感じたことを丁寧に言葉にしたい」との思いから、映画レビューサイト《Silverscreen Pallet》を運営しています。 心に残るシーンやテーマを深く味わいながら、読者の皆さまの記憶に響くような記事をお届けできたら嬉しいです。
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