映画『変な家』感想レビュー|雨穴ワールドと映画演出のズレが生む違和感
今この映画を見る理由
ホラーや不条理な物語が多く作られる中で、『変な家』は「間取り図」という一見平凡な題材から生まれた異色の作品です。
秋の夜長や不思議なものに触れたい季節に、あえて観て“自分なりの答え”を考えるのも面白いと思いました。
完成度の高い恐怖体験を求める人には物足りないかもしれませんが、雨穴ワールドの入り口として、あるいは「謎と違和感の境界線」を探る体験としては、十分に価値のある一本だと感じました。
【ご一読ください】
本記事は、物語の核心部分には触れず、作品全体の空気感やテーマ性、鑑賞時の参考となる観点を中心に構成しています。
また、作品によっては、人間関係や社会的な題材、心理的な揺らぎを扱う場面が含まれることがあります。ご自身の感受性や鑑賞環境に応じて、無理のない形でお楽しみください。

総合まとめ
国内平均星評価:3.93 / 5
海外平均星評価:3.48 / 5
※このチャートは、確認できた国内外の評価サイトのスコアをもとに作成しています。
未評価のサイトは平均に含めていません。あくまで参考としてご覧ください。
あらすじ
一見すると普通の一軒家。しかし、その間取り図には、どこか説明のつかない“違和感”が潜んでいました。 オカルト専門の動画クリエイターとして活動する雨宮は、引っ越し予定の家の図面について相談を受け、その不可解さに興味を抱きます。
雨宮は、ミステリー好きの設計士・栗原とともに、間取りに込められた意図を読み解いていきます。すると、空間の配置や不自然な構造の中から、表には出てこない人間の心理や過去を想起させる仮説が浮かび上がってきました。
やがて、その家の周辺で起きた出来事が世間の関心を集め、雨宮は間取りと出来事のあいだに関連性があるのではないかと考えます。調査内容を動画として公開したことで、ある女性から思いがけない連絡が届き、物語は新たな局面へと進んでいきます。
次々と現れる新たな間取り図と謎。 その先に待っているのは、偶然では片づけられない“真実”でした。 あなたは、この家に隠された秘密に、どこまで踏み込むことができるでしょうか。
東宝MOVIEチャンネル映画『変な家』何・か・が・“変”・な【予告変】
【ネタバレ注意】
※本記事では、登場人物や象徴的シーンに触れ、私なりの考察や解釈を掲載しています。これより先はネタバレになりますので、物語を楽しみたい方は鑑賞後の閲覧を推奨します。
不気味な家に仕掛けられた“謎”のはずが…
映画『変な家』は、雨穴さんの人気企画を原作に実写化された作品です。
不可解な間取り図から始まる物語は、観客の想像力をかき立てる「雨穴ワールド」の魅力を映像化したものといえます。しかし、映画という形に落とし込まれたとき、その独特の怖さや余白は必ずしもそのまま再現されてはいませんでした。私はこの違和感こそが本作を語るうえで重要な視点だと感じました。

雨穴ワールドの核心と映画版のズレ
原作での魅力は、「間取り」という一見無機質な情報から不穏さを立ち上げる発想力にありました。
けれど映画版では、映像や演出が「怖がらせること」に寄りすぎており、観客に余白を与える余韻が薄まってしまったように思えました。
例えば、村人に追われる場面や刺激の強い演出を伴う人物の登場など、露骨なホラー演出が挟まれることで、雨穴的な知的好奇心よりも、安直な恐怖の消費に傾いている印象を受けました。
この点で、本作は「雨穴の世界を知るファンがどう受け取るか」という点で評価が分かれる作品だと感じました。
設定の薄さが残す“物語の穴”
物語上、「本家」「供養をめぐる身体的なモチーフ」「選ばれる少年」といった要素は配置されていましたが、それらが十分に整理されずに散漫な印象を残しました。
たとえば、本家に住む人物(高嶋忠夫さん演じる男性)の立ち位置や、少年・とうやがその立場に置かれた理由は明確に描かれず、観客の理解に委ねられてしまいます。
本来であれば“謎”は作品の深みを支える要素になりえますが、説明を避けすぎた結果、「謎」ではなく構成上、粗さを感じる箇所もありました。これは、考察を楽しむ余地を残すというより、観客に物語を投げ出してしまったようにも思えました。

恐怖よりも興ざめを生む演出
ホラー演出の中には、かえって恐怖を弱めてしまうものがありました。
特に「感覚的に不快さを覚えやすい室内描写」や「供養をめぐる象徴的な表現」といった描写は、現実感を伴って想像すれば印象に残るはずですが、作中では表層的な演出として処理されてしまったように感じました。
もし匂いや生活感を伴って描かれていれば、もっと不気味さが増したのではないかと思います。
観客に「恐怖を意識させようとする」意図が前に出すぎると、逆に緊張感が削がれてしまう――本作はまさにその典型例だと感じました。

それでも残る「雨穴的な面白さ」
とはいえ、完全に失望するわけではありませんでした。
“間取り”から物語を膨らませていく着想はやはり独特で、映画化によって「村」や「本家」というスケール感のある舞台に広がったこと自体は興味深い試みでした。
また、観客それぞれが「左手とは何か」「とうやの運命はなぜか」と考えを巡らせられる余地を残した点は、原作の精神を部分的に継いでいるとも言えます。
この「もやもや」が、逆に観客同士の議論や考察を促すかもしれません。そこにこそ、この映画が持つ隠れた価値があるように思えました。
🔗 関連作品・参考情報
🎬石川淳一監督
・過去作・関連作品:
- 『エイプリルフールズ』(2015年)
- 『ミックス。』(2017年)
🎭間宮祥太朗
・過去作・関連作品:
- 『ある閉ざされた雪の山荘で』(2024年)
- 『劇場版 ACMA:GAME 最後の鍵』(2024年)
🎭佐藤二朗
・過去作・関連作品:
- 『爆弾』(2025年)
- 『新解釈・幕末伝』(2025年)
1/23(金)公開の『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』
来週金曜公開予定の『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』。スターの孤独と語られない感情に焦点を当てた構成が印象的です。自己表現は救いか呪いか。あなたはこの静かな問いを受け止められますか。
1/17(土)公開の『カラオケ行こ!』
昨日公開の『カラオケ行こ!』。笑いの奥に潜む不器用な感情のやりとりが、静かに胸に残る一作です。歌は人を救うのか、それとも距離を縮める装置なのか。あなたはどの瞬間に心を動かされるでしょうか。
1/16(金)公開の『ボーダランズ』
一昨日公開の『ボーダランズ』。ゲーム由来の過剰な世界観と、実写ならではの肉体感がどう噛み合うのかが見どころです。混沌は娯楽へ昇華するのか。それとも破綻するのか。あなたはどこまで許容できますか。

