グザヴィエ・ドラン作品

【ネタバレ注意】ジョン・F・ドノヴァンの死と生|孤独と親子の絆を描く感動ドラマ

少年ルパートの寝室、窓から差し込む光と机の上の手紙や文具、写真や日記が並ぶ静かな回想部屋の風景
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秋風が肌をなでる季節、あなたは「人間の孤独」と「親子の絆」を静かに見つめたいと思うことはありませんか?グザヴィエ・ドラン監督が描く本作は、過去と現在が交錯する中で、スターと少年の文通を通した感情の機微を紡ぎます。心の揺らぎや秘密を味わいながら、あなたならどの瞬間に共感するでしょうか。

【ご一読ください】
本記事は、物語の核心部分には触れず、作品全体の空気感やテーマ性、鑑賞時の参考となる観点を中心に構成しています。

また、作品によっては、人間関係や社会的な題材、心理的な揺らぎを扱う場面が含まれることがあります。ご自身の感受性や鑑賞環境に応じて、無理のない形でお楽しみください。

総合まとめ

国内平均星評価:3.54 / 5

評価 :3.5/5。

海外平均星評価:3.45 / 5

評価 :3.5/5。

※このチャートは、確認できた国内外の評価サイトのスコアをもとに作成しています。
未評価のサイトは平均に含めていません。あくまで参考としてご覧ください。

あらすじ

2006年、ニューヨーク。 人気俳優ジョン・F・ドノヴァン(キット・ハリントン)は、29歳という若さで突然この世を去りました。 その死をめぐる真相は明らかにされないまま、世間にはさまざまな憶測が残されます。

時が流れ、10年後。 ドノヴァンと、当時11歳だった一人の少年ルパート・ターナー(ジェイコブ・トレンブレイ)とのあいだで交わされていた手紙が、一冊の本として出版されます。

現在は新進気鋭の俳優として注目を集めるルパートが、自らの判断で100通を超える手紙の公開に踏み切ったのです。

さらに彼は、著名なジャーナリストの取材に応じ、これまで語られてこなかった出来事のすべてを明かすと宣言します。 その告白は、スターと少年の関係、そしてジョン・F・ドノヴァンという人物の真実に、新たな光を投げかけていくのでした。

Happinet phantom3/13(金)公開!『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』予告


【ネタバレ注意】
※本記事では、登場人物や象徴的シーンに触れ、私なりの考察や解釈を掲載しています。これより先はネタバレになりますので、物語を楽しみたい方は鑑賞後の閲覧を推奨します。

本作は過去と現在を行き交う構造を持ち、11歳のルパート・ターナーとジョン・F・ドノヴァンの文通を軸に物語が進みます。回想とインタビューが交互に描かれることで、観る者は少年の成長と孤独を追体験すると同時に、大人になった彼の心理にも共感できます。

回想シーンに流れるアデルの「Rolling in the Deep」は、公式に使用意図が公表されていませんが、力強くも切ないメロディが少年の純粋さと孤独を象徴しているように感じました。音楽が心理描写の一部として機能しており、観る者の感情を巧みに揺さぶります。

ルパートは感受性豊かで優しい少年です。一方で母親は、息子の主張を受け止めきれず、感情的に強い態度を取る場面があります。勝手に手紙を読んでしまう行動には、保護本能とプライバシーへの葛藤が感じられました。

特に印象的なのは、ルパートが勝手にオーディションに向かった後、母親が探しに行くシーン。学校の作文で母への尊敬を語る声と、ルパートを探す母の映像、BGM「Stand by Me」が重なり、母子関係の複雑さを温かくも切なく表現しています。この瞬間、観る者は母子の絆と少年の成長を深く感じることができました。

雨の降るロンドンの街中、母が子どもを探す緊張感と温かさを表す風景、親子の絆が伝わる情景

バーバラ役のセリフからは、長年培ってきた信念やリスクへの覚悟が伝わり、まるで重厚な赤ワインのように体に沁みるようでした。また、実家でのセンスのないジョークや、ルパートの担任と母親の要領を得ない会話も、日常のリアルさと人物描写の奥行きを加えています。こうした脇役の描写が、物語に厚みと説得力を生み出していました。

厨房の端のテーブルに置かれた緑のインクの手紙と封筒、過去と現在の記憶が重なる幻想的な風景

ジョン・F・ドノヴァンは、ルパートとの手紙に書かれた「秘密」を秘匿します。子どもとの文通が、不適切な関係だと誤解される恐れやファンと個人的にやり取りするリスクを考慮したのかもしれません。彼の孤独、転落、そして名声との葛藤は、観る者に社会的偏見やプライバシーの問題を問いかけます。成長したルパートが振り返るインタビューは、過去と現在を繋ぐだけでなく、視聴者自身が「誰の視点で物語を理解するか」を考えるきっかけとなります。

朝の住宅街の庭の入り口に花束が置かれ、哀愁漂う静かな雰囲気で孤独を象徴する風景

ラストのインタビュアーの笑いやバイク運転手の正体は、観る者に想像の余白を残します。この曖昧さこそ、物語を単なるドラマ以上に深く感じさせ、「もう一度観たい」と思わせる力になっていました。謎を完全に解消せず、観る者に想像の余地を与える演出は、ドラン監督ならではです。

🔗 関連作品・参考情報

🎬グザヴィエ・ドラン監督

・過去作・関連作品:

  • 『Mommy/マミー』(2014年)
  • 『たかが世界の終わり/Juste la fin du monde』(2016年)

🎭キット・ハリントン

・過去作・関連作品:

  • 『ポンペイ/Pompeii』(2014年)
  • 『エターナルズ/Eternals』(2021年)

🎭ナタリー・ポートマン

・過去作・関連作品:

  • 『ブラック・スワン/Black Swan』(2010年)
  • 『ソー:ラブ&サンダー/Thor: Love and Thunder』(2022年)

1/24(土)公開の『シャタード 美しき罠

次回は『シャタード 美しき罠』。スターの孤独と語られない感情に焦点を当てた構成が印象的です。自己表現は救いか呪いか。あなたはこの静かな問いを受け止められますか。

1/25(日)公開の『どん底作家の人生に幸あれ!

次回は『どん底作家の人生に幸あれ!』。苦難を軽やかに語り直す語り口が魅力です。人生は再構築できる物語なのか。希望を笑いに変えるこの作品を、あなたはどう受け取りますか。

このレビューを書いた人
高瀬 楓(たかせ かえで)
高瀬 楓(たかせ かえで)
映画と余韻のブロガー。  週末19時に更新中。
はじめまして。映画ブロガーの高瀬 楓(たかせ かえで)と申します。 「映画の余韻にじっくりと浸りながら、自分の視点で感じたことを丁寧に言葉にしたい」との思いから、映画レビューサイト《Silverscreen Pallet》を運営しています。 心に残るシーンやテーマを深く味わいながら、読者の皆さまの記憶に響くような記事をお届けできたら嬉しいです。
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