映画大好きポンポさん レビュー|90分で楽しむ映画制作と映画愛【ネタバレなし】
【ご安心ください】
※本記事には映画の具体的な結末などのネタバレは含みません。作品のテーマや雰囲気を中心に綴っていますので、未鑑賞の方もお楽しみいただけます。
※注意:本記事には、暴力描写、過激な表現、心理的・社会的に敏感なテーマ(家族関係、差別、精神的葛藤など)が含まれる場合があります。苦手な方や未成年の方は閲覧にご注意ください。

総合まとめ
国内平均星評価:3.96/5
海外平均星評価:3.55/5
※このチャートは、確認できた国内外の評価サイトのスコアをもとに作成しています。
未評価のサイトは平均に含めていません。あくまで参考としてご覧ください。
あらすじ
(以下、公式サイトより引用)
敏腕映画プロデューサー・ポンポさんのもとで製作アシスタントをしているジーン。映画に心を奪われた彼は、観た映画をすべて記憶している映画通だ。映画を撮ることにも憧れていたが、自分には無理だと卑屈になる毎日。
だが、ポンポさんに15秒CMの制作を任され、映画づくりに没頭する楽しさを知るのだった。
ある日、ジーンはポンポさんから次に制作する映画『MEISTER』の脚本を渡される。伝説の俳優の復帰作にして、頭がしびれるほど興奮する内容。大ヒットを確信するが……なんと、監督に指名されたのはCMが評価されたジーンだった!
ポンポさんの目利きにかなった新人女優をヒロインに迎え、波瀾万丈の撮影が始まろうとしていた。
出典:劇場アニメ『映画大好きポンポさん』公式サイト
出典:劇場アニメ『映画大好きポンポさん』公式サイト
映画制作への純粋な愛を描く『映画大好きポンポさん』は、上映時間90分という潔い構成が印象的な作品です。編集の妙と登場人物の個性が、映画を愛する人々の情熱を画面越しに伝えてくると感じました。

ジーンの成長と内向的な魅力
主人公ジーンは、控えめでやや暗い印象の青年です。目の下のクマや控えめな発言から、人付き合いが苦手な内向的な性格が伝わってきます。しかし、その自己表現の下手さは映画制作という世界ではむしろ武器となり、彼の個性として活かされているように思えました。特に映像編集に没頭する場面では、彼の才能が覚醒し、ポンポさんとの関わりを通じて大きく成長していく様子が感じられました。この描写からは、静かに自分を磨きながらも夢に向かって努力する人物像を垣間見られ、観客としても自然と応援したくなると感じました。

ポンポさんの明るさと信念
対照的に、ポンポさんは明るく、喜怒哀楽が激しい人物です。子供っぽい振る舞いもあり、観ているとつい微笑んでしまう場面が多々あります。それ以上に印象的なのは、映画制作に対する揺るぎない信念です。どんな状況でもブレずに自分の考えを伝える姿勢は、映画プロデューサーとしての理想像を感じさせました。特定の一瞬よりも、全編を通してぶれないキャラクターであることが、作品全体に安定感と温かみを与えていると思えました。
上映時間90分の潔さと演出
本作で特筆すべきは、上映時間90分への徹底したこだわりです。ポンポさんが編集にこだわる姿勢が画面に反映されており、映画自体も見事に90分で完結します。この構造は、無駄を削ぎ落として本当に伝えたいことだけを残すというテーマとも重なり、観客に「編集こそが映画を作る」というメッセージを静かに伝えているように感じました。その他の演出やカット、色彩やカメラワークに特段印象的な場面はありませんが、この潔い編集が作品全体のテンポ感と魅力を作り上げていると感じました。
映画愛を原動力としたテーマ
物語を通して最も強く伝わるのは、登場人物たちの映画への愛です。ジーンやポンポさんが画面越しに見せる情熱や言動から、「映画が好きだからここまで頑張れる」というメッセージが終始感じられました。深いテーマや複雑なメッセージは薄いものの、映画制作の現場やキャラクターたちの情熱を通して、映画を愛する心の尊さや楽しさが自然に伝わる作品です。この点で、映画ファンや制作に興味がある人には共感できる瞬間が多いと感じました。

今この映画を見る理由
夏休みや休日のひとときに、短くテンポ良く映画愛を感じたいときに最適です。90分の潔い構成は、映画制作の情熱を効率的に味わえると感じました。
次回予告『空の青さを知る人よ』
青春と家族の絆を描いた岡田麿里脚本のアニメ映画『空の青さを知る人よ』。過去と現在の慎之介が共存する不思議な世界で、姉妹の関係や音楽が絡む物語が展開します。思わず心が揺さぶられるシーンや、日常と非日常が交錯する描写は見逃せません。読後に「誰かを大切にしたくなる」余韻が残る本作の魅力を、ぜひ映画館で体感してみてください。

