映画『ベイビーガール』レビュー|自己中心的欲望と家庭の安定の狭間で揺れる心理劇
【ご安心ください】
※本記事では、映画の結末や重要シーンの具体的な内容には触れていません。雰囲気やテーマ、鑑賞の目安を中心に紹介しています。
※注意:本記事には、暴力描写、過激な表現、心理的・社会的に敏感なテーマ(家族関係、差別、精神的葛藤など)が含まれる場合があります。苦手な方や未成年の方は閲覧にご注意ください。

総合まとめ
国内平均星評価:3.19/5
海外平均星評価:2.82/5
※このチャートは、確認できた国内外の評価サイトのスコアをもとに作成しています。
未評価のサイトは平均に含めていません。あくまで参考としてご覧ください。
あらすじ
(以下、公式サイトより引用)
NYでCEOとして、大成功を収めるロミー。舞台演出家の優しい夫ジェイコブと子供たちと、誰もが憧れる暮らしを送っていた。
ある時、ロミーは一人のインターンから目が離せなくなる。彼の名はサミュエル、ロミーの中に眠る欲望を見抜き、きわどい挑発を仕掛けてくるのだ。
行き過ぎた駆け引きをやめさせるためにサミュエルに会いに行くが、逆に主導権を握られてしまい…
Happinet phantom│映画『ベイビーガール』予告
今この映画を見る理由
現代社会で「安定」と「刺激」の間に揺れる私たちに、『ベイビーガール』は鋭い問いを投げかける。主人公の自己中心的な欲望と倫理の衝突は、単なるスキャンダルではなく、私たち自身の価値観を映す鏡のようで、観察するたびに胸がざわついた。あなたなら、この葛藤にどう向き合うだろうか。
【ネタバレ注意】
※本記事では、登場人物や象徴的シーンに触れ、私なりの考察や解釈を掲載しています。これより先はネタバレになりますので、物語を楽しみたい方は鑑賞後の閲覧を推奨します。
冒頭からの衝撃 — 過激描写が導く視線
冒頭、性描写と直後の自己刺激シーンで観客の注意を一瞬で掴む構成は、ショックだけでなく、主人公の心理を観察する興味をかき立てた。倫理的に許されない行動ながらも、逆に人間の欲望の構造を知る好奇心が芽生え、映画は「あなたの倫理感はどこまで許容できる?」と静かに問いかけてくるように思えた。

人物の心理と倫理 — 欲望と安定の対比
主人公は社会的地位と家庭を持つ一方で、満たされない欲望に抗えず社員と関係を持つ。この行為には拒絶反応を覚えたが、夫の献身的な行動との対比を観察すると、家庭における「安定」の価値が浮き彫りになる。安定は一人で築けるものではなく、夫や子どもとの共同作業の結果であることを再認識させられた。映画はこの構造を巧みに描き、読者も自分の価値観と照らし合わせながら物語を味わえると感じた。

性別と社会的ダブルスタンダード
年上女性が年下男性に手を出す描写はロマンチックやエロティックに受け止められることがあるが、性別が逆なら大問題となる社会の二重基準。この視点は、主人公の自由奔放な欲望を倫理的に批判するだけでなく、読者に性別や社会規範の不条理さを考えさせる観察ポイントとなる。
演出と象徴 — 映像で描く心理
家庭内の象徴的空間や冬の季節感、演劇的モチーフは、主人公の欲望と家庭の安定というテーマを映像的に際立たせる。ニコール・キッドマンの演技は、心理の微妙な揺らぎや自己中心性を自然に表現し、過激でありながらも品格を保った官能表現が映画全体を引き締めていた。

タイトルの意味と文化的ニュアンス
「ベイビーガール」というタイトルは、親密さや愛称を示す一方で、物語では性や自己中心性の象徴としても機能している。邦題と英語圏でのニュアンスを比較すると、主人公の心理や物語のテーマを読み解く鍵として機能していることがわかる。
🔗 関連作品・参考情報
🎬ハリナ・ライン監督
・過去作・関連作品:
- 『BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』(2022年)
🎭ニコール・キッドマン
・過去作・関連作品:
- 『アザーズ』(2001年)
- 『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(2017年)
🎭ハリス・ディキンソン
・過去作・関連作品:
- 『キングスマン:ファースト・エージェント』(2020年)
- 『ブリッツ ロンドン大空襲』(2024年)
【次回予告】『ホスト:宿されし者』
矯正学校で巻き起こる奇妙な事件。弱き立場のインが挑む心理戦と恐怖の連鎖は、予想外の展開に、思わず息を呑むことになるだろう。タイ発ホラーの面白さを、あなたも体感してみてはどうだろうか。

