ババンババンバンバンパイア|戦闘と涙が光る映画感想レビュー

【ネタバレ注意】
本記事では映画『ババンババンバンバンパイア』の登場人物や象徴的なシーンに言及しています。物語の印象を大切にされたい方は、鑑賞後のご一読をおすすめいたします。特に戦闘シーンでは腕が吹っ飛ぶ、刺される、吐血するなど過激な描写が含まれていますので、ご注意ください。
出典:松竹チャンネル/SHOCHIKUch映画『ババンババンバンバンパイア』公式サイト
あらすじ
(以下、公式サイトより引用)
銭湯で働く森蘭丸(吉沢亮)、その正体は450歳のバンパイア。至高の味わいである「18歳童貞の血」を求め、銭湯のひとり息子である15歳の李仁(板垣李光人)の成長と純潔をそばで見守る日々だったが、ある日李仁がクラスメイトの葵(原菜乃華)に一目惚れ!恋が成就してしまえば、それすなわち童貞喪失の危機!突如訪れた絶体絶命のピンチに「恋をさせてはなるものか!」と蘭丸による決死の童貞喪失阻止作戦が幕を開ける!
ところが、そう意気込んで葵の家を訪ねるも、バンパイアオタクである葵から逆に恋心を抱かれてしまう蘭丸。
さらには蘭丸の命を狙うバンパイアハンター・坂本(満島真之介)、葵の兄である脳筋番長・フランケン(関口メンディー)が次々登場、全員の勘違いとすれ違いにより、恋の矢印が大混線!
そして、そんな蘭丸のもとへ因縁の相手である兄・長可(眞栄田郷敦)の影が忍び寄る――
出典:映画『ババンババンバンバンパイア』公式サイト
異世界感と冒頭の暑さ
映画『ババンババンバンバンパイア』は、冒頭から不思議な世界観に引き込まれます。4月なのに32度という暑さの描写は、観ているこちらにも湿度と熱気がリアルに伝わり、ジメジメとした夏の感覚を疑似体験できました。現実感のある温度表現が、バンパイアの非現実的な世界とのギャップを際立たせていると感じます。
人物描写と感情移入
吉沢亮さんの演技は見事です。銭湯掃除のシーンでは、日常感あふれる演技が光り、普段は完璧に見える俳優のコミカルな一面を垣間見ることができました。また、涙の美しさは特筆すべきで、まるで湧き水のように透き通った涙が観客の心に静かに響きます。子役の自然な演技も加わり、観客はキャラクターに感情移入しやすく、物語の中での小さな日常に共感を覚えました。

戦闘シーンの演出と鑑賞の心構え
本作の戦闘シーンは、暴力描写が比較的直接的で、腕が吹っ飛ぶ、刺される、吐血といった過激な表現もあります。鑑賞の際は心の準備をして臨むとより楽しめると感じました。
蘭丸と梅太郎の戦いでは『マトリックス』のオマージュが見られ、蘭丸と李仁の仲違いの場面では『ターミネーター2』を思わせる演出が存在します。また、蘭丸のお兄さんは『HOTLIMIT』風の衣装をまとい、戦闘のユーモアと迫力のバランスを絶妙に彩っています。暴力とコミカルさの混在により、観客は緊張と笑いの両方を同時に楽しむことができました。
パロディとバンパイア世界のルール
血の描写やタバコの扱い、男性・女性の血の美味しさなど、バンパイア世界の独自ルールには遊び心があります。蘭丸の「ロマネコンティに便所の水を流すようなもの!」というセリフは、バンパイア社会にも日常の常識や価値観が存在することを示しており、観る者にクスリと笑わせる余白を与えています。こうした細やかな演出が、作品の独自性を際立たせていると感じました。

懐かしさと日常の描写
神社のお祭りや銭湯など、日常的で懐かしい光景も散りばめられています。吉沢亮さんの演技と重なることで、観客は非日常の物語の中にも、かつて体験した日常の記憶を重ねることができます。この絶妙なバランスが、映画全体に温かみと親近感を与えていました。

今この映画を見る理由
『ババンババンバンバンパイア』は、ユーモアと戦闘のスリル、そして涙の美しさが同時に楽しめる作品です。過激な描写には心の準備をしつつ、奇想天外なバンパイアの日常に触れることで、日常の退屈を忘れ、笑いと驚きに包まれる時間を体験できます。観る者自身の感情の揺れを楽しみながら、この不思議な世界に足を踏み入れてみませんか。
【次回予告】『アノーラ』
次回は、自由奔放で魅力あふれる『アノーラ』の物語をお届けします。ニューヨークで出会ったロシア人御曹司との7日間の契約恋愛から、ラスベガスでの衝動結婚まで、アノーラの人生は予測不能。華やかなパーティーやファッション、そして家族の反対によるコミカルな攻防が織りなす、笑いとスリルの絶妙なバランスが魅力です。ショーン・ベイカー監督の演出によって、現実の喧騒と夢のような恋愛が同時に味わえる新感覚のラブコメディをぜひご期待ください。
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忘れられない余韻を、ぜひご自宅でも味わってみてください。
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